目次
Toggle繰り返す事で縮まる距離がある
「大丈夫ですよ」の、その先に。買い物支援を通して気づいたこと
1.顔を合わせるたびに、少しずつ
「大丈夫ですよ」
8月から宇城市で買い物支援に関わる中で、初めのころによく聞いた言葉です。
こちらも、どこまで踏み込んで聞いてよいのか分からない。
住民の方にも、遠慮があったのだと思います。
日々の暮らしで何に困っているのか、十分に聞き取れないままのこともありました。
けれど、訪問を重ねるうちに、少しずつ会話が変わってきました。
「実は、こんなことに困っていて」
「これからのことが心配で」
暮らしの困りごとだけでなく、心の中にある不安も話していただけるように
なってきたと感じています。
何度も顔を合わせる中で、少しずつ距離が縮まった。
その積み重ねがあったからこそ、聞けるようになった話がありました。
2.「買い物が大変」の中身は、一人ひとり違う
私たちが訪問している宇城市の住宅は坂の上にあり、坂の下にあった商店やスーパーも閉店してしまいました。高齢の方や障害のある方も暮らしておられ、買い物に行くこと自体が難しい状況があります。
当初は私たちも、坂道やお店までの距離など、住民の皆さんに共通する課題に目が向いていました。
けれど、関わりを重ねるうちに、一人ひとりの暮らしの中にある、もっと具体的な困りごとが見えてきました。
例えば、両手で杖を使っている方は、断水しても水を運ぶことが難しい。ティッシュのように、重くなくてもかさばるものを持ち帰るのが大変です。
買い物に行けるかどうか。その先には、買ったものをどうやって家まで運ぶか、という問題もあります。
そこまで分かっていれば、必要なものを、必要な方へ、もっと的確に届けられたのではないか。そう振り返るようになりました。
おむつについても、ここに来てようやくお話を聞くことができました。
毎日の生活に欠かせないものでも、人に頼んだり、話題に出したりしづらいことがあります。これまでお話がなかったからといって、困りごとがなかったわけではない。そのことも、あらためて学びました。
3.玄関先に届けた、その後まで
チャイムが鳴ってから玄関に出るまでに、腕の力を使って床を移動する方もいます。その方にとっては、玄関まで出てくること自体が、ひと仕事です。
そこへ荷物を置いて帰ったら、その後はどうなるでしょうか。
水やかさばる日用品を、玄関から部屋の中へ運ぶ。その作業が難しければ、荷物を受け取った後にも困りごとは残ります。
物資は、何を届けるかだけでなく、どこに置くかも大切なのだと気づきました。
玄関先から、使える場所へ。置き場所も、ご本人と相談しながら。
※画像はAIで作成した支援場面のイメージです。
「大丈夫ですよ」と言われても、その一言だけで困っていないと決めつけず、「中まで運びましょうか」と、もうひと声かけてみる。
もちろん、ご本人の希望を大切にしながら、必要なら玄関の中へ。
お住まいが2階でも3階でも、その方が受け取り、使える場所まで届ける。
届けた後の暮らしまで想像することも、支援の一部なのだと思います。
4.助成事業が終わる前に、気づけてよかった
今回の助成期間は約3か月です。
もし訪問の回数が少なかったら・・・。
もし最初の「大丈夫ですよ」という言葉だけで、困っていないと判断していたら。
こうしたことに気づけないまま、事業が終わっていたかもしれません。
だからこそ、終わる前に気づけてよかったと思っています。そして、この気づきを残りの支援に生かしていきたいです。
まとめて買いそろえた日用品。これから宇城市と八代市へ届けます。
お聞きした困りごとを受けて、おむつやトイレットペーパーなどの日用品を、まとめて買い込みました。
明後日は宇城市と八代市へ持っていきます。
必要なものを届けること。そして、その荷物をどこに置けば使いやすいか、ご本人と相談すること。一つひとつの訪問で、実践していきたいと思います。
おむつのことも、気兼ねなく話してもらえるように。私たちも「必要な分をまとめて買って、届けますよ」と自然に応えられるように。
お願いをする側だけが、遠慮を乗り越えなければならない関係にはしたくありません。こちらからも声をかけ、安心して話せる雰囲気をつくっていきたいと思います。
顔を合わせる時間を重ね、心の距離を少しずつ縮めていく。そして、荷物を渡す瞬間だけでなく、その後の暮らしにも目を向ける。
必要なら玄関の中まで。2階でも、3階でも。
一人ひとりの困りごとに気づき、その方が使える場所まで届けられる。そんなハッピーライドでありたいです。
本事業は、日本財団の助成を受けて実施しています。この支援を、一人ひとりの暮らしに寄り添う活動につなげてまいります。

