「できない」が地域を救うその1

①「できない」が地域を救う、新しい防災のカタチ

この資料の出発点は、とてもシンプルです。
防災は「強い人」だけで成り立つものではない、という考え方です。

従来の防災は、「自分で避難できるか」「自分で備えられるか」といった“できる前提”で作られてきました。しかし実際の地域には、高齢者、障がい者、子育て世帯、外国人など、同じ条件で動けない人が必ず存在します。

ここで重要なのは、

「できない」は欠点ではなく、防災計画の穴(バグ)を見つけるヒント
である、という視点です。

「ここは通れない」「この情報は分からない」という声があって初めて、地域の防災は現実に近づきます。


② 隠された「遠慮」と自己肯定感の低下

支援が必要な人ほど、実は声を出さなくなる傾向があります。
理由はとても人間的で、

  • 迷惑をかけたくない

  • みんな大変だから我慢しよう

  • 自分だけ特別扱いされたくない

といった「遠慮」が積み重なるからです。

この遠慮は善意から生まれますが、結果として
必要な支援ニーズが見えなくなる
という問題を引き起こします。

防災の現場では、「声が上がらない=問題がない」ではありません。
むしろ、一番危険な状態だと考える必要があります。


③ 遠慮は「命のリスク」を隠してしまう

このスライドでは、氷山の比喩が使われています。

  • 表に見える10%:声に出された困りごと

  • 水面下の90%:声に出せないニーズ・潜在的リスク

遠慮によって隠れたリスクは、災害時に突然表面化します。
そしてその時には、対応が間に合わないことが多いのです。

静かな地域=安全な地域、ではありません。
声が見える地域こそ、安全に近づいている
というのが、ここでの大切なメッセージです。


④ 「できない」は地域のセキュリティホールの発見

ここで、「できない」の定義が大きく転換されます。

これまで

  • できない=弱さ

  • 助けが必要な存在
    (福祉的アプローチ)

これから

  • できない=防災計画のバグを知らせるアラート
    (リスク管理の視点)

つまり、
「できない」と言える人は、地域の安全を守る“センサー”
なのです。

この考え方に変わるだけで、当事者の立ち位置は大きく変わります。

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